冬の屋台で体の芯から温まる甘酒を味わってみたい
――甘酒の起源・歴史・種類と、苦手だった人が再チャレンジしようと思った理由
初詣の境内や冬の屋台で、
湯気の立つ甘酒を手に、どこか満足そうに飲んでいる人を見かけることがあります。
正直なところ、
「本当に美味しいのだろうか」
「なぜあんなに幸せそうなのだろう」
と、少し距離を感じてきました。
私自身、人生で数えるほどしか甘酒を飲んだことがありません。
幼少期に口にしたときの、
- 甘いのか苦いのかわからない味
- どろっとした口当たり
- 日本酒に近いと感じたアルコール感
こうした記憶が残り、
甘酒は「あまり得意ではない飲み物」という位置づけのまま、
積極的に手に取ることはありませんでした。
それでも、
甘酒はなぜ今も初詣や冬の行事の場に残り、
一定数の人に好んで飲まれているのでしょうか。
この記事では、
甘酒が苦手だった視点を起点に、
甘酒の起源・歴史・種類、
そして現代で飲まれる理由を整理しながら、
無理のない再チャレンジの入口を探っていきます。
甘酒の起源と歴史|祭祀と結びついた宗教的な飲み物としての始まり
甘酒の起源は古く、
奈良時代から平安時代にかけての記録が残っています。
この時代の甘酒は、
現在のような日常的な飲み物ではなく、
祭事や儀礼と結びついた宗教色の強い存在でした。
発酵によって生まれる甘みや滋養は、
特別な力を持つものと捉えられ、
節目の場で体を整える意味合いも含まれていたと考えられます。
その後、武家社会が成立していく中で、
甘酒は儀礼に限定された存在ではなくなっていきます。
戦や移動の多い武士階級にとっても、
甘酒は体力維持や体調管理に向いた飲み物であり、
特別な場と日常をつなぐ存在として位置づけられていきました。
この過程を経て、
甘酒は宗教的な飲み物から、
より実用的な飲み物へと性格を変えていったと考えられます。
江戸時代の甘酒|日常と体調管理を同時に支えた飲み物
江戸時代に入ると、
甘酒は町の中へと広がっていきます。
甘酒売りが町を歩き、
銭さえあれば一杯飲める、非常に身近な存在でした。
感覚としては、
現代で言えば、喉が渇いたときに
自販機で缶コーヒーやお茶を買う行為に近いものだったと考えると、
分かりやすいかもしれません。
また、甘酒は冬だけでなく、
夏には冷やして売られていたことも知られています。
冷蔵技術がない時代でも、
素焼きの器を使い、風通しの良い場所に置くことで
気化熱を利用した冷却が行われていました。
当時の甘酒は、
- 水分補給
- 糖質補給
- 消化の良さ
- 発酵による保存性
を同時に満たす飲み物でした。
安全な水を安定して確保できない時代において、
甘酒は水よりも口にしやすく、
体を動かす人にとっては
現代のスポーツドリンクに近い役割も果たしていたと考えられます。
なぜ甘酒は「体調管理の飲み物」という印象が残ったのか
江戸時代の甘酒は、
特別なときだけでなく、日常的に飲まれていました。
しかし近代以降、
- 安全な飲料水
- 清涼飲料水
- 栄養補助食品
が普及する中で、
甘酒が担っていた役割は分解されていきます。
その結果、
日常的な飲み物としての位置づけは薄れ、
「体を労わる」「滋養がある」という側面だけが残りました。
この変化が、
甘酒を
体調が悪いとき、あるいは風邪予防など未病の段階で摂るもの
という印象へと押しやった要因の一つだと考えられます。
甘酒には2種類ある|米麹甘酒と酒粕甘酒の違い
甘酒を語るうえで欠かせないのが、
2種類の甘酒の違いです。
米麹甘酒
米と米麹を発酵させて作る甘酒で、
製法上アルコールは発生しません。
- 自然な甘み
- 比較的さらっとした口当たり
- ノンアルコール
近年、スーパーや健康志向の商品として流通している甘酒の多くがこちらです。
酒粕甘酒
日本酒を搾った後に残る酒粕を溶いて作る甘酒です。
- 微量のアルコールを含む
- 独特の香りとコク
- 砂糖や生姜を加えて調整されることが多い
初詣の屋台などで見かける甘酒は、
実態としてこちらが多いと感じる人も少なくありません。
苦手だと思っていた理由を整理してみる
改めて振り返ってみると、
私が苦手だと思っていた甘酒は、
酒粕由来の甘酒だった可能性が高いことに気づきました。
幼少期に感じたアルコール感や発酵臭、
甘さの輪郭がつかみにくい味の記憶は、
酒粕甘酒の特徴と重なります。
甘酒そのものが合わなかったというより、
出会った種類が自分に合っていなかった。
その結果、甘酒を飲む機会自体がほとんどなくなっていた、
という整理のほうがしっくりきます。
なぜ今も初詣や冬の屋台で好まれているのか
甘酒は、
健康を意識する節目の飲み物
という位置づけが最もしっくりきます。
体を気遣うという意味合いを、
構えすぎず、自然に表現できる。
さらに冬の屋台という環境では、
- 温かい
- その場で飲み切れる
- 強い酒として構えなくてよい
という実利もあります。
縁起や雰囲気だけでなく、
現実的な理由が重なった結果、
甘酒は今も初詣や冬の屋台の風景に残っているのでしょう。
お屠蘇が家の中で飲まれる飲み物として残ったのに対し、
甘酒は外で飲む、節目を意識する飲み物として残った。
そう考えると、その違いも見えてきます。
甘酒は万能飲料ではない|知っておきたいデメリット
甘酒は便利な飲み物ですが、万能ではありません。
- 糖質が多く、飲みすぎればカロリー過多になる
- 酒粕甘酒には微量のアルコールが含まれる
- 体質によっては発酵食品が合わない場合もある
だからこそ、
「体に良いから無条件に飲む」ものではなく、
選択肢の一つとして捉えるのが現実的です。
飲むのが苦手な人でも取り入れやすい使い方
甘酒は、そのまま飲む以外にも使い道があります。
- ヨーグルトに混ぜる
- スムージーに少量加える
- 砂糖代わりにコーヒーや豆乳に足す
実際に、
豆乳で割ったコーヒーに甘みとして少量加えてみると、
砂糖とは違う、角の取れた甘さになりました。
甘酒を主役にしないことで、
取り入れるハードルはかなり下がります。
米麹甘酒を試してみて感じたこと
今回、改めて米麹甘酒を飲んでみると、
以前の印象とは大きく異なりました。
近い感覚で言えば、
アーモンドミルクやオーツミルクに近い存在です。
「甘酒が好きになった」というより、
日常の選択肢の一つとして、
無理なく置ける位置に来た、
という感覚でした。
この感覚があれば、
初詣や冬の屋台、自販機で甘酒を見かけたときに、
少し試してみようと思える余地はありそうです。
まとめ|甘酒は「健康を意識する節目」に寄り添う飲み物
甘酒は、
かつて日常と体調管理を同時に支えていた飲み物でした。
現代では役割が分かれ、
少し分かりにくい存在になっています。
それでも行事の場で残ったのは、
体を気遣うという意味合いを、
無理なく表現できる飲み物だったからなのだと思います。
私自身、そう思えるようになりました。
甘酒が苦手だった人でも、
同じように少しだけ試してみるところから始めてもいいのかもしれません。
今度の初詣の際には、
酒粕由来の甘酒にも、余裕があればチャレンジしてみたいと思います。
