ホテルの雑学

ホテルのお風呂やバスルームの違いと雑学をまとめて分かりやすく解説

ホテルのお風呂やバスルームの違いと雑学をまとめて分かりやすく解説
CoCoRo編集部

海外のホテルに泊まったら浴槽がなくシャワーだけだった、日本のホテルでは洗い場のない狭い浴室に驚いた。バスルームの造りが施設によってこれほど違うのはなぜだろうと、疑問に思ったことはないでしょうか。答えは入浴文化の違いにあります。ホテルのバスルームは、日本では湯船に浸かってくつろぐ習慣を、海外ではシャワーで手早く済ませる習慣を、それぞれ反映して設計される傾向があるためです。バス・トイレ別の客室が増えていることや、ガラス張りの浴室が見られることも、この延長にある工夫です。

ホテルのバスルームにまつわる雑学には、法令や工法の記録ではっきり裏づけられるものと、そうでないものが混ざっています。バス・トイレ一体型のユニットバスが1964年開業のホテルニューオータニ向けに生まれた事実は記録に残っている一方、ガラス張りが選ばれる理由については施設側の公式見解が広く公開されておらず、断定できない部分が残ります。すべての海外ホテルにバスタブがないわけではなく、すべての高級ホテルがガラス張りというわけでもありません。

そこで本記事では、日本と海外でバスルームの造りが分かれた背景から、一体型のユニットバスが広まった経緯までを、法令と工法の記録をもとに解説していきます。ホテルの浴室の違いが気になる方は、ぜひご参考にしてください。

この記事でわかること

  • 日本と海外でバスルームの造りが分かれている背景と、その説明がどこまで裏づけられているのか
  • バス・トイレを分けることが法令上の義務なのか、施設ごとの設計判断なのか
  • 一体型のユニットバスがいつどんな事情で生まれ、どれだけ普及したのか
  • ガラス張りの浴室が採用される理由について、確認できることと確認できないことの境目

なぜ日本と海外でバスルームの造りが違うのか

日本と海外でバスルームの造りが異なるのは、入浴という行為そのものの捉え方が違うためです。バスルームとは、浴槽と洗い場とシャワーなど、入浴に関わる設備をまとめた空間のことです。どの設備を備え、どう組み合わせるかに、その土地の入浴習慣が表れます。

日本では湯船に浸かる習慣が今も多数派を占める

東京ガス都市生活研究所が2025年8月と2026年1月に実施した調査をまとめたレポート「現代人の入浴事情2026」では、一都三県に住む15歳から79歳の男女2600名を対象に入浴の実態を調べています。この調査では、シャワーだけで済ませる人が30代以上で増えている傾向が示されており、湯船に浸かる習慣が世代によって変わりつつある状況が読み取れます。それでも湯船を使う入浴が広く残っていることが、日本の宿泊施設で浴槽が標準的に用意される背景にあります。

海外との比較は定量データが乏しく傾向にとどまる

海外では毎日湯船に浸かる習慣を持たない人も多く、浴槽があってもその中で体を洗って済ませる使い方が一般的だと紹介されています。浴槽の外に洗い場を設ける日本式の造りとは前提が異なります。ただし、こうした説明は旅行系メディアや語学系メディアによる二次的な解説であり、日本と海外の入浴習慣を同じ条件で比較した統計調査は確認できていません。日本側の実態には東京ガス都市生活研究所のような一次調査がある一方、海外側には対応するデータがないため、傾向として共有されている理解だと捉えるのが適切です。

バス・トイレ別のホテルが増えている背景

バスルームとトイレを分けた客室が増えている一方で、両者を一体にしたユニットバスの客室も数多く残っています。この二つが併存しているのは、法令が分離を求めていないことと、日本の宿泊施設に一体型が広まった歴史的な経緯の両方が関わっているためです。

法令は入浴設備と便所を求めるが分離までは求めていない

旅館業法施行令第一条第一項は、・ホテル営業の構造設備の基準を定めています。第四号は、近接して公衆浴場があるなど入浴に支障を来さないと認められる場合を除き、宿泊者の需要を満たす適当な規模の入浴設備を有することを求めています。第六号は適当な数の便所を有することを求めています。入浴設備と便所はそれぞれ別の号で定められていますが、両者を別の部屋に分けることまでは求めていません。バス・トイレ別は法令上の義務ではなく、各施設が宿泊者の使い勝手を考えて選ぶ設計判断です

一体型のユニットバスは1964年のホテル建設から広まった

浴槽と洗面台と便器を一つの空間に収めたユニットバスルームは、TOTOが1963年に業界で初めて開発した工法です。TOTOの2024年3月18日のニュースリリースによると、1964年の東京オリンピック開催にあたり、日本初の超高層ホテルであるホテルニューオータニへ短期間で大量の浴室を納入する必要があったことが開発の背景でした。工期を在来工法の10分の1に短縮できたため、1044室分の浴室を3.5ヵ月で組み立てています。1964年9月の誕生から普及が続き、累計出荷台数は2024年2月に1200万台を超えました。日本の宿泊施設に一体型の客室が多いのは、この工法が宿泊施設向けに生まれ、短工期と省スペースの利点を持っていたことが出発点になっています。

どちらが多いかは価格帯や築年数で変わる

すべての宿泊施設がバス・トイレ別に切り替わっているわけではありません。どちらの形式が多いかは価格帯や築年数によって差があり、新しい施設ほど分離型だと言い切ることもできません。予約時に客室タイプの説明を見て確認するのが確実です。

ガラス張りバスルームが高級ホテルに多いという説を検証する

ガラス張りのバスルームが高級ホテルやデザイナーズ物件で見られるのは事実ですが、なぜガラス張りが採用されるのかを明確に説明した施設側の公式資料は見当たりません。開放感や採光といった理由は、住宅設備業界の解説記事で紹介されている見方にとどまります。

開放感や採光は住宅設備業界の解説記事による見方

リフォームや住宅設備を扱う企業のコラムでは、ガラス張りにすることで狭いバスルームに広がりが生まれる、部屋の採光が良くなる、清掃の状態が把握しやすくなるといった利点が挙げられています。ただし、これらは住宅設備業界による一般的な解説であり、特定のホテルが設計意図としてガラス張りを選んだ理由を証言した一次資料ではありません。ホテルごとの採用理由は施設に確認しないと分からない領域です。

高級ホテルに限定される設計ではない

ガラス張りのバスルームは高級ホテルの象徴のように語られますが、一般的な住宅のリフォーム事例としても数多く紹介されており、高級ホテル特有の設計とは言い切れません。目隠しフィルムやブラインドを併用する客室もあり、常に浴室全体が丸見えというわけでもありません。

バスルームの違いを宿泊先選びにどう活かすか

湯船に浸かってゆっくりしたい場合は、バスタブの有無や深さを予約前に確認しておくと安心です。海外のホテルではシャワーのみの客室が一般的な地域もあるため、事前の確認が失望を避ける近道になります。

ガラス張りの浴室に抵抗がある場合や、鏡や照明の見え方が気になる場合は、客室タイプの写真や説明を確認したうえで予約すると安心です。バス・トイレの分離やバスタブの深さ、鏡や照明の工夫については、テーマごとに配下記事で詳しく取り上げています。

まとめ

  • 日本のホテルは湯船に浸かる文化を、海外のホテルはシャワー中心の文化を反映して設計される傾向があります。
  • 旅館業法施行令第一条第一項は入浴設備を第四号、便所を第六号でそれぞれ求めていますが、両者を分けることまでは求めていません。バス・トイレ別は法令上の義務ではなく設計判断です。
  • 一体型のユニットバスルームは、1964年開業のホテルニューオータニ向けにTOTOが1963年に開発した工法が出発点で、累計出荷台数は2024年2月に1200万台を超えました。
  • ガラス張りバスルームは高級ホテルに多い印象がありますが、採用理由を証言する一次資料は乏しく、断定はできません。
  • 湯船やガラス張りが気になる場合は、予約前に客室タイプの写真や説明を確認しておくと安心です。

参考資料

関連記事:ホテルの雑学25選

あわせて読みたい
ホテルの雑学25選、客室と設備とサービスに隠された理由を解説します
ホテルの雑学25選、客室と設備とサービスに隠された理由を解説します
CoCoRo編集部
CoCoRo編集部
CoCoRo編集部
サービス業支援メディア運営チーム
CoCoRo編集部は、「感謝の気持ちをカタチにする」ことをテーマに、サービス業界における新しい価値創造を目指す情報発信チームです。​デジタルギフティングや従業員エンゲージメントの向上に関する最新トレンド、導入事例、業界インタビューなど、現場で役立つ実践的なコンテンツをお届けしています。​おもてなしの心をデジタルでつなぐCoCoRoの世界観を、より多くの方々に知っていただくため、日々情報を発信しています。​
記事URLをコピーしました