ホテルの雑学

海外と日本で異なるホテル文化、チェックインと支払い方法の違い

CoCoRo編集部

海外のホテルで勝手が違い、戸惑った経験はないでしょうか。海外のホテルの多くは、チェックイン時にクレジットカードの提示を求め、宿泊料金とは別に保証金を確保する運用が一般的とされています。日本のホテルでは、チェックイン時にこうした保証金を求められる場面は多くありません。この違いは、施設側が備品の破損や未払いサービスへのリスクをどう管理するかという発想の差から生まれています。

ただし、これは国ごとに一律のルールがあるという意味ではありません。同じ国の中でもホテルのグレードや系列によって運用は異なり、日本国内でも外資系や高価格帯の施設では同様の保証金を求める例があります。海外だから必ずこうだ、日本だから必ずこうだと単純化することはできません。

そこで本記事では、日本と海外でチェックインや支払い、サービスの前提がどう違うのかを解説していきます。海外での滞在を控えている方は、ぜひご参考にしてください。

この記事でわかること

  • チェックイン時に求められる手続きの違い
  • 日本で本人確認が法令上必要とされる理由
  • 支払い方法やデポジットの考え方の違い
  • チップの扱いとサービス料の関係

なぜチェックイン時の手続きに違いが生まれるのか

チェックインの手続きが国によって異なるのは、宿泊者に対する本人確認や支払い保証の考え方が、それぞれの法制度や商習慣のもとで独自に発達してきたためです。デポジットとは、宿泊料金以外のサービスを利用した場合の未払いに備えて、施設側があらかじめ預かる保証金のことです。

厚生労働省が所管する旅館業法第6条は、営業者に宿泊者の氏名や住所を名簿に記載し備え付けることを義務づけています。厚生労働省が定める旅館業法施行規則第4条の2によると、日本国内に住所を持たない外国人宿泊者については、国籍と旅券番号の記載と旅券の写しの保存が求められます。チェックイン時に日本でパスポートの提示を求められるのは、施設の方針ではなく法令にもとづく手続きです

海外ではクレジットカードによる保証が基本になっている

海外の宿泊業では、ルームサービスや電話、館内の有料インターネットなど、宿泊料金に含まれないサービスを利用したまま精算せずに帰ってしまう事例や、備品の破損、盗難といったトラブルが起こりうる前提で運用されているとされています。そのため、チェックイン時にクレジットカードの提示を受け、カード情報を控えるか一定額を仮に決済しておき、チェックアウト時に問題がなければその分を取り消すという流れが広く採られています。

日本では宿泊者名簿による本人確認が法律で定められている

日本の旅館・ホテルでは、旅館業法にもとづき宿泊者名簿への記載が義務づけられています。日本国内に住所を持たない外国人宿泊者については、国籍と旅券番号を宿泊者名簿に記載し、旅券の提示を受けたうえで、その写しを名簿とあわせて保存することが定められています。海外のクレジットカード保証金が金銭面のリスク管理を目的とするのに対し、日本のこの制度は本人確認そのものを目的としており、着眼点が異なります。

支払いをめぐる習慣にも違いがある

チェックイン時の手続き以外にも、宿泊中のサービスに対する金銭的な感謝の伝え方には、国や地域によって異なる慣習があります。特に代表的なのがチップの習慣です。

アメリカのホテルではチップの目安が業界団体から示されている

アメリカのホテル業界団体は、宿泊客向けにチップの目安をまとめたガイドを発表したことがあり、荷物を運ぶスタッフには荷物1個あたり1ドルから5ドル程度、客室清掃を担当するスタッフには1泊あたり1ドルから5ドル程度を目安として示していたことが、業界専門媒体で紹介されています。あくまで業界団体が示す目安であり、法律で定められた義務ではありません。

ヨーロッパではチップが必須ではない国もある

ヨーロッパでは国によって事情が異なり、支払いは基本的に不要とされる国がある一方で、義務ではないもののマナーの一部として渡すことが一般的とされる国もあります。海外旅行に関する観光専門シンクタンクの用語解説でも、現地ガイドやドライバーへのチップは義務ではなく現地の風習として渡す心づけと位置づけられています。ヨーロッパは一つの文化圏として一括りにできるものではなく、国ごとの慣習を確認しておく必要があります。

海外は必ずチップが必要で日本は不要という通説を検証する

海外のホテルでは必ずチップが必要で、日本では一切不要という理解は、実態を単純化しすぎています。チップの要否は国、施設のグレード、受けたサービスの内容によって幅があります。

アメリカ国内でも地域や施設によって扱いが異なる

アメリカ国内であっても、チップの支払いは法律で強制されているわけではなく、あくまで慣習として定着している行為です。同じアメリカのホテルでも、サービス料があらかじめ請求書に含まれている施設では、追加のチップが不要とされる場合があります。会計時にサービス料の記載があるかどうかを確認することが、実務上の目安になります。

日本にも金銭的な感謝を伝える慣習が残っている

日本のホテルでも、心づけと呼ばれる形で、特別な配慮を受けた際に金銭を渡す慣習が一部で残っています。義務ではなく、渡さなくても失礼にはあたらないという点で欧米のチップとは前提が異なりますが、日本には金銭による感謝の伝え方が全く存在しないと言い切ることもできません。海外は必要、日本は不要という単純な二分法ではなく、それぞれの国でどこまでが慣習でどこからが義務なのかを見分けることが実態に近い理解につながります。

旅行前に確認しておくとよいポイント

海外のホテルを予約する際は、チェックイン時にクレジットカードが必要になる場合が多いことを前提に、複数枚のカードや十分な利用可能枠を用意しておくと安心です。デビットカードのみで保証金の枠が確保できない施設もあるため、事前に施設の予約規約を確認しておくとトラブルを防げます。

  • 渡航先の国でチップの慣習があるかどうかを、旅行会社や現地情報で事前に確認する。
  • チェックイン時に求められるクレジットカードの保証枠を、旅行前に把握しておく。
  • 会計時にサービス料が含まれているかどうかを確認し、二重にチップを渡さないようにする。

まとめ

  • 海外のホテルではクレジットカードによる保証金を求める運用が広く見られ、日本ではこの慣習は一般的ではありません。
  • 日本の旅館・ホテルは旅館業法にもとづき宿泊者名簿への記載と、外国人宿泊者の旅券確認を義務づけられています。
  • チップの習慣は国や施設によって差があり、アメリカでは業界団体が目安を示している一方、ヨーロッパは国ごとに事情が異なります。
  • 海外と日本のホテル文化の違いは、一律のルールではなく施設と地域ごとの慣習の差として理解する必要があります。

参考資料

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