千葉県茂原市で2026年7月11日、複合型ドッグパーク「Ruff-Laugh Chiba(ラフラフ千葉)」がグランドオープンしました。2020年に閉園した観光施設「ひめはるの里」を活用し、愛犬と泊まる、遊ぶ、くつろぐという複数の過ごし方を一つの拠点にまとめています。
自治体の民間提案制度を起点に、地域資産の再生と新たな来訪目的の創出を重ねた事例です。宿泊施設や観光施設にとっては、特定の旅行動機に寄り添いながら、滞在と日帰りの双方に接点を広げる運営設計として参考になります。
観光庁(国土交通省)『令和8年版観光白書(概要版)』では、観光白書・観光動向を考える際に、地域資源を単体で見せるだけでなく、受入環境や周辺事業者との連携まで含めて磨き上げる視点が示されています。今回の発表も、施設の魅力を地域での過ごし方や移動導線と結びつけて伝える点で、宿泊事業者が滞在価値を組み立てる参考になります。
本記事のポイント
- 閉園した「ひめはるの里」を、愛犬同伴で滞在と日帰り利用を楽しめる観光拠点へ再生しました。
- 全室に専用ドッグランを備えた9棟のキャビンと、屋内外のドッグパーク、飲食機能を組み合わせています。
- 茂原市と民間事業者の連携により、地域資産の継承と交流人口の拡大を目指す取り組みです。
発表内容の整理

Ruff-Laugh Chiba(ラフラフ千葉)は、株式会社コスモスイニシアと茂原市が連携して整備した複合型ドッグパークです。茂原市民間提案制度で採択された旧施設の利活用事業として、宿泊だけでなく日帰りでも利用できる施設になりました。
宿泊機能の「Ruff inn CABIN」は全9棟で、すべての客室にプライベートドッグランを設けています。宿泊者向けには予約制のプライベートテントサウナ、ファイヤープレイス、夕朝食も用意され、愛犬との時間を中心に滞在を組み立てられます。
遊びの機能には、室内の「Ruff LOUNGE」、屋外の「Laugh SQUARE」、リードを着用して過ごす「PLAYGROUND」、サイズ別エリアを備えた「DOG RUN」があります。2026年7月11日からは、入場料内で利用できる夏季限定のプールエリアも開設されました。
飲食面では、パーク内で自由に楽しめる料理や飲み物を「CAFE STAND」で提供します。宿泊者向けの食事とカフェメニューを株式会社and Supplyが監修し、施設で過ごす時間そのものを豊かにする工夫がうかがえます。
出典:PR TIMES 複合型ドッグパーク 『Ruff-Laugh Chiba(ラフラフ千葉)』2026年7月11日グランドオープン 期間限定プールエリア新設(ニュースリリース)
閉園施設の再生が新しい来訪目的を生む
今回の特徴は、既存の観光施設を単に改修するのではなく、「愛犬との旅行」という明確な目的を持つ場所へ再編集した点にあります。広い屋外空間や自然環境といった旧施設の資源を生かしながら、客室、遊び場、ラウンジ、飲食を組み合わせることで、新たな利用価値につなげています。
千葉県が公表する「観光客の入込動向」では、令和6年の観光入込調査が最新確定値として案内されています。地域への来訪状況を継続的に確認できる環境があるため、施設側でも宿泊数だけでなく、日帰り客の来場時期、周辺への回遊、再訪率などを地域の動向と照らして捉えることが大切です。
自治体と事業者が地域資産の次の役割を丁寧に組み立て、交流・観光拠点として再出発させたことは、地域に残る施設の活用を考える関係者にも前向きな示唆を与える取り組みです。
宿泊と日帰りをつなぐ複合運営
宿泊棟だけで事業を完結させず、日帰り利用できるドッグパークやカフェを設けたことで、近隣からの短時間利用と遠方からの滞在利用を同じ施設内で受け入れられます。天候を問わず利用しやすい室内ラウンジがあることも、屋外型施設の稼働を支える要素です。
観光庁の「令和8年版観光白書(概要版)」では、2026年7月1日に国際観光旅客税が1,000円から3,000円へ引き上げられ、令和8年度の関係予算が前年度の490億円から1,300億円へ増額されたことが示されています。訪日客だけに依存せず国内交流も広げ、観光地と観光産業を強くする政策環境のなかで、地域住民や近距離客が繰り返し利用できる機能と、宿泊につながる体験を併設する考え方は重要性を増しています。
利用時間や目的が異なる顧客を受け入れる場合は、予約枠、混雑状況、犬種や体格別の利用区分、清掃時間を分かりやすく案内することが欠かせません。複数の空間を用意した同施設の構成からは、愛犬と飼い主が安心して選べる環境への細やかな配慮が伝わります。
愛犬との時間を軸に滞在体験を設計
全客室に専用ドッグランを設けたことは、共有空間だけでは対応しにくい犬の性格や飼い主の過ごし方にも選択肢をもたらします。屋内外の遊び場、食事、サウナ、ファイヤープレイスまでを施設内でつなぎ、移動の負担を抑えながら滞在の場面を増やしています。
観光庁の「世界的潮流を踏まえた魅力的な観光コンテンツ造成のための基礎調査事業 調査報告書」は、ウェルネス、自然活動、生活への没入などを観光コンテンツの潮流として整理しています。Ruff-Laugh Chiba(ラフラフ千葉)のように、自然の中で愛犬と遊び、食事を取り、ゆっくり宿泊する一連の時間を提供することは、設備を個別に訴求するだけでなく、旅行者が現地でどのように過ごせるかを具体化する体験設計につながります。
宿泊事業者が愛犬同伴客を受け入れる際には、客室の設備だけでなく、雨天時の居場所、食事中の過ごし方、散歩後の手入れ、ほかの利用者との動線まで一続きで考える必要があります。同施設が「泊まる・遊ぶ・くつろぐ」を一体で示したことは、旅行前の不安を和らげ、滞在を想像しやすくする丁寧な設計として映ります。
季節設備を地域回遊と再訪につなげる
夏季限定プールは、暑い時期の活動を支えるだけでなく、季節ごとに訪れる理由を生み出す機能でもあります。追加料金なしで利用できる仕組みは、初めての来場者にも体験の入口を分かりやすくし、日帰り客から宿泊検討者まで幅広い接点をつくります。
季節企画を地域への波及につなげるには、施設内の利用実績に加えて、周辺の立ち寄り先、交通手段、滞在時間を把握し、地域事業者と案内情報を共有することが有効です。プール、食、宿泊などの利用動機を茂原市内の観光や買い物へ結び付けられれば、来訪者と地域の接点をさらに育てられます。
また、犬の安全を守る水質管理、休憩時間、体調確認、監視体制を運営情報として明示することは、体験価値と信頼の双方を支えます。季節性のある設備を施設の魅力に加えつつ、安心して利用できる環境を整える姿勢が期待されます。
まとめ
Ruff-Laugh Chiba(ラフラフ千葉)は、閉園した観光施設の空間を生かし、愛犬との宿泊、屋内外での遊び、食事、休息を一つの体験にまとめた新たな地域拠点です。宿泊と日帰りの両方を受け入れる構成には、幅広い来訪機会をつくりながら地域資産を持続的に運営しようとする工夫が表れています。
今後、季節ごとの利用動向や地域への回遊が蓄積されれば、愛犬同伴旅行の拠点としてだけでなく、自治体と民間事業者が協働する観光施設再生の事例としても、多くの気づきをもたらしそうです。
企業情報
- 事業者: 株式会社コスモスイニシア
- 施設名: Ruff-Laugh Chiba(ラフラフ千葉)
- 所在地: 千葉県茂原市
- 開業日: 2026年7月11日
参考資料
- 千葉県『観光客の入込動向(令和6年)』: 観光客の入込動向
- 観光庁(国土交通省)『令和8年版観光白書(概要版)(2026年7月1日)』: 令和8年版観光白書(概要版)
- 観光庁(国土交通省)『ATWS2023を契機としたアドベンチャーツーリズムの推進に向けたヒアリング・アンケート調査結果(2024年3月)』: ATWS2023を契機としたアドベンチャーツーリズムの推進に向けたヒアリング・アンケート調査結果
