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山梨・白州「宿場 esoto」開業、七賢の酒蔵が営む一日一組限定の文化屋敷

宿場 esoto 枯山水庭園と日本家屋
CoCoRo編集部

山梨県北杜市白州町台ヶ原に、一日一組限定の一棟貸し文化屋敷「」が2026年6月1日に開業しました。1750年創業の日本酒ブランド「七賢」を醸す山梨銘醸株式会社が手掛け、株式会社るうふが事業構想から設計・施工までを支援した宿泊施設です。公式サイトは同年7月15日に公開されました。

明治40年頃の建築とされる屋敷を生かし、酒蔵、水源、食、器、地域のものづくりを一夜の滞在へ結び付けています。建物の保存だけで完結せず、白州で受け継がれてきた営みを宿泊者が五感でたどれる点に、地域文化を扱う宿ならではの魅力があります。

)『令和8年版観光白書(概要版)』では、・観光動向を考える際に、地域資源を単体で見せるだけでなく、受入環境や周辺事業者との連携まで含めて磨き上げる視点が示されています。今回の発表も、施設の魅力を地域での過ごし方や移動導線と結びつけて伝える点で、宿泊事業者が滞在価値を組み立てる参考になります。

本記事のポイント

  • 「宿場 esoto」は一日一組、最大4名で利用する一棟貸しの文化屋敷です。
  • 七賢の水源地、酒蔵、食、器、白州のものづくりを一連の滞在体験として構成しています。
  • 歴史的建築物の再生と少人数向けの高付加価値な運営を組み合わせ、地域の物語を丁寧に伝える宿を目指しています。

発表内容の整理

宿場 esoto 水面を背景にした公式サイト画面

「宿場 esoto」は、山梨県北杜市白州町台ヶ原にある明治40年頃の文化屋敷を改修した宿です。一棟を貸し切る形式で、定員は最大4名。敷地内の蔵を改修した蔵風呂や宿泊者専用ダイニングを備えています。

体験は、水源地と酒米の田を訪ねる水源地ツアー、通常非公開の酒蔵や古酒蔵などを巡る蔵元ツアー、白州の菓子・農業・自然に触れる地域ツアーの3種類です。夕食では地元食材と七賢の酒を組み合わせ、明治以降の骨董品を中心とした器とともに提供します。

宿泊プランはカジュアル、スタンダード、プレミアムの3種類で、スタンダードプランは1泊2食付きで1名78,000円からと発表されています。地域に残る建物、水、酒造り、食文化を個別に見せるのではなく、一晩の時間軸に沿って体験できるよう整えた設計です。

出典:PR TIMES 【公式サイト本日公開】1750年創業「七賢」の酒蔵が営む一日一組限定・一棟貸し文化屋敷「宿場 esoto」が山梨・白州に開業

画像:©esoto / Yamanashi meijo co. Ltd., ∕

水と酒造りを滞在価値へつなぐ体験設計

この宿の中心にあるのは、白州の水と七賢の酒造りを、現地で確かめられる体験へ変えていることです。水源地、酒米の田、酒蔵、食卓を順にたどることで、宿泊者は一杯の酒が生まれる背景を風景や人の営みとともに理解できます。

観光庁の「ATWS2023を契機としたアドベンチャーツーリズムの推進に向けたヒアリング・アンケート調査結果」は、・歴史・文化・産業を有機的につないだコンテンツづくりと、地域資源へ付加価値を与えて伝えられる案内人の重要性を示しています。「宿場 esoto」の3つのツアーでも、見学先を増やすだけでなく、水と醸造の関係を一つの物語として案内できる体制が、体験の質を支える要素になります。

地域資源の背景を食事や入浴まで一貫して伝える構成は、館内滞在と周辺周遊を切り離さずに設計したい宿泊事業者にとっても参考になる取り組みです。

歴史的な文化屋敷を未来へ引き継ぐ運営

建物の古さを装飾として扱うのではなく、台ヶ原宿の記憶を滞在の核に据えている点が特徴です。既存の文化屋敷や蔵を生かしながら、現代の宿泊に必要な快適性と貸切空間を組み込む丁寧な設計がうかがえます。

国土交通省が2018年に歴史的建築物の活用に向けたガイドラインを公表した時点では、独自条例を制定していた自治体は11団体でした。この数値は現在の団体数ではありませんが、歴史的建築物を宿泊や観光まちづくりに生かすには、安全性の確保に加え、地域の制度や行政との調整が欠かせないことを示す当時の基礎情報です。

設計・施工だけでなく事業構想から一貫して支援し、酒蔵の思想と土地の歴史を空間へ落とし込んだ発表元の取り組みには、建築と運営体験を同時に整える姿勢が表れています。歴史を語る意匠と日々の清掃、保全、接客を結び付けることが、建物を長く使い続ける土台になります。

一日一組だから実現できる滞在の密度

一日一組、最大4名という規模は、館内の静けさを守りながら、案内、食事、入浴を宿泊者の関心に合わせて組み立てやすい運営形態です。価格だけで高付加価値を示すのではなく、非公開の酒蔵を訪ねる時間や専用ダイニングでのペアリングなど、ここでしか得にくい体験を積み重ねています。

観光庁の「令和8年版観光白書(概要版)」では、観光地・観光産業の強靱化などを柱とする施策の関係予算が、令和7年度の490億円から令和8年度の1,300億円へ拡大したと整理されています。また、国際観光旅客税は2026年7月1日に1,000円から3,000円へ引き上げられました。これらは個別施設への支援を直接意味するものではありませんが、受入環境と観光産業の基盤整備が一段と重視される政策環境を示しています。

少人数施設では、案内や食事に必要な人員と時間を事前に可視化し、プランごとの体験範囲を明確にすることが安定運営につながります。3段階の宿泊プランを用意する構成は、体験の選択肢と現場負荷を両立させる方法としても注目されます。

白州のものづくりへ滞在を開く地域連携

宿の外にある菓子、農園、山岳環境まで案内対象に含めることで、滞在の価値を白州全体へ広げています。自施設だけで体験を完結させず、宿泊者の関心に応じて地域の訪問先を提案する姿勢は、地域内の消費や再訪のきっかけにもなります。

こうした連携を継続するには、季節、天候、受入人数、移動時間を含む最新情報を宿側と地域事業者が共有することが大切です。酒を飲まない人への選択肢や屋外体験が難しい日の代替案も用意できれば、幅広い宿泊者が白州の文化へ触れやすくなります。

山梨銘醸が培ってきた酒造りの背景と、株式会社るうふが持つ地域文化を宿へ再構成する知見が重なり、白州の魅力を静かに深く伝える滞在が形づくられています。地域の担い手への敬意を保ちながら宿泊者との接点を設ける工夫は、土地に根差す宿づくりの現場にも示唆を与えます。

まとめ

「宿場 esoto」は、明治期の文化屋敷、白州の水、七賢の酒造り、地域の食とものづくりを、一日一組の滞在へ編み直した宿です。歴史的建築物を残すだけでなく、案内、食事、入浴、地域周遊まで同じ物語の中に配置している点に、この施設ならではの魅力があります。

宿泊事業者にとっては、地域資源を並べて紹介するのではなく、誰がどの順序で伝え、どの体験までを宿泊プランに含めるかを設計する重要性が読み取れます。少人数だからこそ届けられる密度の高い滞在が、台ヶ原宿の記憶を次代へつなぐ新たな接点となりそうです。

企業情報

  • 発表元:株式会社るうふ
  • 事業内容:地域文化に根差した宿泊事業の企画、設計、施工
  • 施設運営主体:山梨銘醸株式会社
  • 施設名:宿場 esoto
  • 所在地:山梨県北杜市白州町台ヶ原
  • 開業日:2026年6月1日

参考資料

本記事は、公開されている情報(プレスリリース、公式サイト、官公庁等の公的資料を含む)を基に、宿泊業の実務に役立つ観点からCoCoRo編集部が独自に整理・解説したものです。記事内で取り上げる商品・サービス・施設・取り組み等は、発表元のホテル・旅館(および関係事業者)から個別の許諾、監修、承認を受けて作成したものではなく、またPR TIMESを含む配信媒体や発表元との提携・推奨・広告・販売促進を意図または示唆するものでもありません。

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