東京都渋谷区円山町で、アパートメント型ホテルの新ブランド第1号となる「VADE HOTEL SHIBUYA」が2026年10月1日に開業予定です。全74室を4名以上対応とし、滞在機能と街に開く飲食空間を組み合わせる計画は、複数人旅行と都市滞在の受け皿を考えるうえで注目されます。
観光庁(国土交通省)『令和8年版観光白書(概要版)』では、観光白書・観光動向を考える際に、地域資源を単体で見せるだけでなく、受入環境や周辺事業者との連携まで含めて磨き上げる視点が示されています。今回の発表も、施設の魅力を地域での過ごし方や移動導線と結びつけて伝える点で、宿泊事業者が滞在価値を組み立てる参考になります。

本記事のポイント
- VADE HOTEL SHIBUYAは、渋谷・円山町で開業する新ブランド「VADE HOTEL」の第1号施設です。
- 全74室・総定員304名で、すべての客室を4名以上対応とし、キッチンや洗濯機を備えます。
- 1階には70席のオールデイダイニング「CHICAMA」2号店を併設し、宿泊者と地域の利用をつなぐ場を目指します。
発表内容の整理

今回の発表は、計画段階ではなく、2026年10月1日の開業に向けた事前告知です。VADE HOTEL SHIBUYAは、京王井の頭線「神泉」駅から徒歩2分、渋谷駅から徒歩8分の円山町に位置し、鉄筋コンクリート造・地上7階建の建物に全74室を設けます。
客室は4名定員のタイプを中心に、最大6名対応のタイプも用意されます。全室にキッチン、洗濯機、浴室、テレビ、Wi-Fi、スマートキーを備えることから、短期の都市観光に加え、複数人での連泊や生活に近い滞在にも対応する構成です。
1階には、朝食からディナーまで営業予定の「CHICAMA」2号店を併設します。薪窯と炭火を用いる料理、屋外テラス席を含む70席のダイニングを設け、ホテル内の飲食機能にとどまらず、地域の日常的な利用も視野に入れています。
出典:PR TIMES 【JR西日本プロパティーズ株式会社・株式会社ラ・アトレ・株式会社MOTHERS】渋谷・円山町にアパートメント型ホテルの新ブランド「VADE HOTEL SHIBUYA」を10月1日に開業
4名以上対応の客室が示す都市滞在の選択肢
観光庁「旅行・観光消費動向調査」では、2023年に3名以上で旅行するグループ・ファミリーが全体の54.5%を占める一方、3名以上が宿泊できる客室の供給割合は36.1%とされています。VADE HOTEL SHIBUYAは、全室を4名以上対応とすることで、この旅行需要に正面から応える設計です。
30平方メートル台から70平方メートル台までの客室にキッチンと洗濯機を組み合わせることで、単に定員を増やすだけでなく、荷物や食事、洗濯といった複数人滞在の実務的な負担を軽くする工夫がうかがえます。都市部でグループ需要を受け入れる宿泊事業者にとって、定員設計と滞在設備を一体で考える参考になりそうです。
バックヤードの設計を滞在価値へつなげる
同施設では、リネンや備品を日単位で配送する運用を活用し、リネン庫などのバックヤードを抑え、共用スペースへ振り向ける方針を示しています。有人フロントと事前チェックイン用タブレットを併用する点も、到着時の導線と現場負荷の両方を意識した設計といえます。
観光庁「令和8年版観光白書(概要版)」は、2024年度の宿泊業における一人当たり付加価値額が587万円で、全産業の817万円を下回る状況を示しています。限られた人員でサービス品質を保つには、客室・バックヤード・チェックインの動線を分けて考えるのではなく、空間と運用を同時に組み立てることが重要です。VADE HOTEL SHIBUYAの構成は、その具体的な検討材料として映ります。

渋谷・円山町の文脈を館内体験へ翻訳する
ブランドは、拠点ごとに土地の文化を読み解いてデザインを変える方針を掲げています。第1号施設では「MIDDLE STREET」をコンセプトに、モルタルの質感、家具や照明、盆栽、館内アートを組み合わせ、ストリートカルチャーと和の要素を重ねる計画です。
都市ホテルでは、立地名を掲げるだけでなく、宿泊者が到着直後から街の気配を感じられる体験へ落とし込めるかが滞在の印象を左右します。円山町の近接性と館内の表現をつなげようとする姿勢は、地域性を客室外の共用空間にも展開する取り組みとして魅力があります。
レストランを街との接点にする
「CHICAMA」2号店は、宿泊者の朝食会場であると同時に、ランチやディナー、仕事帰りの利用までを想定するオールデイダイニングです。テラス席を含む70席を設け、ホテル利用者と地域で働き暮らす人が同じ空間を使う構想は、宿泊施設を街の中の食の拠点として位置付ける試みです。
観光庁「令和8年版観光白書(概要版)」では、2025年の訪日外国人旅行者数と訪日消費額が過去最高となったことが示されています。都市部の宿泊施設では、滞在中の食体験を館内で完結させるだけでなく、地域との往来を生む入口として育てる視点も求められます。朝から夜まで利用できる飲食空間は、連泊客の利便性と地域利用の双方を支える可能性があります。

まとめ
VADE HOTEL SHIBUYAは、4名以上対応のアパートメント型客室、運用を踏まえた空間配分、渋谷・円山町の文脈を反映するデザイン、街に開くレストランを組み合わせ、2026年10月1日の開業を予定しています。複数人旅行の受け入れと都市滞在の質を両立するために、客室設備・業務導線・地域接点をどう連動させるかを考える機会となりそうです。
企業情報
施設概要
- 運営:株式会社 MOTHERS 朝食 7:00~、ランチ・ディナー 11:00~ 23:00/2026 年 10 月 1 日(木)11:00 グランドオープン
会社概要
- 会社名:matsuri technologies株式会社
- URL:https://www.matsuri.tech/
- 業種:サービス業
- 本社所在地:東京都千代田区永田町2丁目14番2号 山王グランドビル9F
- 電話番号:03-6228-0440
- 代表者名:吉田圭汰
- 上場:未上場
- 資本金:1億円
- 設立:2016年8月
参考資料
- 国土交通省観光庁「旅行・観光消費動向調査」『3名以上で旅行するグループ・ファミリーの割合(2023年)』: 3名以上で旅行するグループ・ファミリーの割合
- 観光庁『宿泊旅行統計調査(最新公表ページ)』: 宿泊旅行統計調査
- JNTO『訪日外客統計(最新公表ページ)』: 訪日外客統計
