マツミハウジング株式会社は、千葉県長生郡一宮町に、犬同伴で滞在できる宿泊体感施設「RYOAN」を開業しました。海に近い立地、広い庭、ドッグラン、バリアフリー性に加え、断熱等性能等級7、BELS★6、耐震等級3、Nearly ZEH仕様を備える点が特徴です。
宿泊事業者にとっては、単なる貸別荘型の民泊ではなく、住宅性能そのものを滞在価値として伝える設計が参考になります。家族、ペット、海辺の余暇、省エネ性能を一つの体験にまとめている点に、これからの小規模宿泊商品の作り方が表れています。
観光庁(国土交通省)『観光地域づくり事例集 第3章「地域資源の活用強化」』では、インバウンドを考える際に、地域資源を単体で見せるだけでなく、受入環境や周辺事業者との連携まで含めて磨き上げる視点が示されています。今回の発表も、施設の魅力を地域での過ごし方や移動導線と結びつけて伝える点で、宿泊事業者が滞在価値を組み立てる参考になります。
本記事のポイント
- RYOANは、千葉県一宮町のビーチライン沿いに開業した犬同伴可能な宿泊体感施設です。
- 断熱等性能等級7、BELS★6、耐震等級3、Nearly ZEH仕様など、住宅性能を滞在体験として訴求しています。
- 民泊市場では届出件数が増える一方、運営継続や管理体制も重要になっており、設備・体験・地域性を組み合わせた商品設計が問われています。
発表内容の整理

発表によると、RYOANは東京都小平市のマツミハウジング株式会社が千葉県長生郡一宮町一宮に開業した木造2階建て、約34坪の宿泊体感施設です。約150坪の敷地に、約270平方メートルの庭、ガゼボ、ウッドデッキ、駐車場を備え、犬や子ども連れの滞在にも配慮した構成になっています。
建物は「涼温な家」の考え方を宿泊で体験できる施設として設計されています。パナソニック製の24時間第1種全熱交換型換気システム、空調システム、センターダクト方式を組み合わせ、エアコン1台を前提に家全体の温度差を抑える空調を目指している点が紹介されています。
立地面では、サーフィンやマリンスポーツの印象が強い一宮町のビーチライン沿いにあり、海まで徒歩圏という説明があります。カルフォルニア工務店とのコラボレーションにより、海辺のライフスタイルを意識した「コースタルハウス」として設計されたことも、宿泊体験の見せ方につながっています。
出典:PR TIMES わんちゃんと一緒に泊まれる民泊をオープン 千葉県長生郡一宮町 次世代省エネ基準の宿泊体感施設をオープンしました 断熱性能等級7 BELS★6取得 耐震等級3 高性能・省エネで全く新しい空調システム
住宅性能を宿泊価値として伝える民泊
RYOANの特徴は、宿泊施設としての快適性と、住宅会社の体感施設としての役割が重なっている点です。断熱等性能等級7、BELS★6、耐震等級3、Nearly ZEH仕様といった性能表示は、一般の旅行者にはやや専門的に映る場合があります。一方で、真夏や真冬の室内環境、音や風を感じにくい空調、空気質への配慮として翻訳されると、滞在中に実感しやすい価値になります。
宿泊運営の現場では、設備スペックをそのまま並べるだけでなく、「寝起きの温度差が少ない」「子どもや犬と過ごす室内時間が快適」「雨天でも屋外気分を味わえる」といった利用場面に置き換えることが重要です。RYOANのように体感を前面に出す施設は、住宅検討者だけでなく、快適な貸切滞在を求める旅行者にも届きやすい構成です。
犬同伴と庭の設計が滞在時間を伸ばす
犬同伴の宿泊では、客室に泊まれるかどうかだけでなく、移動、食事、屋外時間、雨天時の過ごし方まで含めた設計が満足度に影響します。RYOANは広い庭をドッグランとして使えること、ガゼボやウッドデッキで過ごせること、BBQを想定した空間があることにより、施設内で過ごす時間そのものを商品化しています。
観光庁(国土交通省)の「観光地域づくり事例集 第3章『地域資源の活用強化』」では、地域の自然、景観、食、文化、体験を観光価値へ転換する考え方が示されています。RYOANの場合、一宮町の海辺の空気感、犬と過ごせる庭、サーフカルチャーに近い立地を、住宅性能と組み合わせて滞在体験にしている点が印象的です。地域資源を大がかりな観光施設としてではなく、日常に近い滞在の質として表現しているところに、戸建て型民泊ならではの工夫がうかがえます。
民泊市場で求められる運営体制の視点
民泊制度ポータルサイト「minpaku」によると、住宅宿泊事業の届出件数は令和8年5月15日時点で63,658件、住宅宿泊管理業の登録件数は4,334件です。一方で、事業廃止件数は22,913件とされており、参入だけでなく継続運営の難しさも読み取れます。
また、住宅宿泊事業法では年間提供日数の上限が180日とされています。戸建て型の民泊では、限られた営業日数の中で単価、稼働、清掃、近隣対応、設備保守を組み合わせる必要があります。RYOANのように、宿泊収益だけでなく住宅性能の体感やブランド理解にもつながる施設は、民泊を単体の宿泊事業としてだけでなく、企業の接点づくりとして活用する例として参考になります。
一宮町の海辺滞在と省エネ住宅の接点
一宮町は海辺の余暇と結びつきやすい地域です。RYOANは、海まで徒歩圏の立地、サーフィンやマリンスポーツを連想させるデザイン、犬同伴の庭付き滞在を重ねることで、家族やペット連れが長めに滞在したくなる余白を作っています。
省エネ住宅の技術は、宿泊施設では光熱費削減だけで語られがちです。しかし、宿泊者にとっては室内の温度差、換気、睡眠環境、雨天時の過ごしやすさとして体験されます。RYOANの発表内容からは、建築性能を裏側の設備に留めず、旅の快適さとして伝えようとする姿勢が感じられます。小規模宿泊施設でも、建物の思想を丁寧に言語化することで、価格以外の選ばれる理由を育てやすくなります。
まとめ
RYOANは、犬同伴の貸切滞在、海辺のライフスタイル、省エネ住宅の体感を組み合わせた民泊です。断熱、換気、空調、耐震といった住宅性能を、宿泊者が実際に過ごしながら感じられる点に特徴があります。
民泊市場では届出件数が広がる一方、継続運営や差別化の重要性が増しています。地域らしい過ごし方と建物の快適性を結びつけるRYOANの取り組みは、戸建て型宿泊や体験型ショールームを検討する事業者にとって、現場でも参考になる取り組みです。
企業情報
- 発表元:マツミハウジング株式会社
- 所在地:東京都小平市鈴木町2-221-3
- 事業内容:高性能住宅「涼温な家」の提供、住宅関連事業
- 公式サイト: マツミハウジング株式会社 公式サイト
参考資料
- 民泊制度ポータルサイト「minpaku」『住宅宿泊事業法の施行状況(令和8年5月15日時点)』: 住宅宿泊事業法の施行状況
- 民泊制度ポータルサイト「minpaku」『住宅宿泊事業法(民泊新法)とは?(最新公表ページ)』: 住宅宿泊事業法(民泊新法)とは?
- 観光庁(国土交通省)『観光地域づくり事例集 第3章「地域資源の活用強化」(公表資料)』: 観光地域づくり事例集 第3章「地域資源の活用強化」
