ホテルのベッドに枕が2つ置かれているのはなぜか、どちらを使うか迷ったことはないでしょうか。ホテルのベッドに枕が2つ置かれているのは、硬さや素材の違う枕を用意して、宿泊者に合うほうを選んでもらうためであることが多いです。2つとも同じ枕に見えても、中身が違ったり、表と裏で感触を変えられたりする場合があります。
ただし、これはすべてのホテルに共通する決まりではありません。同じチェーンでも施設ごとに寝具の方針が違い、1種類の枕だけを置いているホテルもあります。まずは実際に公開されている情報を見ていきます。
そこで本記事では、枕が複数用意される理由と、法令との関係を整理して解説していきます。寝心地にこだわりたい方は、ぜひご参考にしてください。
この記事でわかること
- 枕が2つ置かれる理由として説明されている内容
- 枕の数が法令で定められているのかどうか
- 2つの枕で硬さや素材が違う場合の見分け方
- 枕を追加で借りられるかどうかの確認方法
枕が2つあるのは選択肢を用意するため
ホテルが枕を2つ置く最大の理由は、寝心地の好みが人によって大きく違うからです。ホテルの枕とは、不特定多数の宿泊者に対して1晩で合う確率を上げるために設計された寝具であり、家庭用の枕のように一人に合わせて選ぶものではありません。
旅館業法にも旅館業法施行令にも、客室に置く枕の数を定めた条文はありません。枕を何個用意するかは各施設の判断です。枕とは、頭部を支えて寝姿勢を安定させる寝具です。高さや硬さの好みは人によって大きく異なります。
硬さと素材が違う2種類を置く例
リッチモンドホテル東京目白は公式サイトで、客室に用意しているのは低反発枕と、片側が羽毛で反対側がそば殻の枕の2種類だと案内しています。低反発は頭をしっかり支えてフィットし、そば殻側は吸湿性が高く、重量感があって比較的硬めのため寝返りを打ちやすいと説明されています。つまり2つは予備ではなく、性格の異なる選択肢として置かれています。
1つの枕で寝姿勢の違いを吸収する設計もある
枕を増やすかわりに、1つの枕で対応する考え方もあります。コンフォートホテルは全室にオリジナルのチョイスピローを設置しており、公式サイトによれば、宿泊者の半数近くが仰向けで寝つくという調査結果をふまえて寝具メーカーと共同開発したものです。中央がくぼんで仰向けに合う高さになり、膨らんだ両サイドは横向きで耳が収まる形状になっていて、寝返りを打ちやすい5つのユニット構造を採用しています。
枕が4つある部屋はベッドの定員で決まることが多い
ダブルベッドやクイーンベッドの部屋で枕が4つ並んでいる場合は、1人あたり2つという構成になっていることがほとんどです。ベッドの幅と想定される利用人数から本数が決まるため、人数が増えれば枕も増えます。ベッドメイクの仕上がりを整えるために、寝具とは別の装飾用クッションが置かれることもあります。
同じチェーンでも枕の方針は施設ごとに違う
枕の構成は、チェーン単位で統一されているとは限りません。同じブランドのなかでも、建物や客室の位置づけによって採用する寝具が変わります。
公式情報を並べると方針の違いが見える
リッチモンドホテルの公式情報を横に並べると、方針がそろっていないことが分かります。
| 施設 | 公式サイトに記載された枕 |
|---|---|
| リッチモンドホテル東京目白 | 低反発枕と、片側が羽毛で反対側がそば殻の枕の2種類 |
| リッチモンドホテル札幌駅前 | 全客室にテンピュール社製コンフォートピロー |
| リッチモンドホテル東京芝 | フェザーとダウンの枕 |
2種類から選べる施設、1種類に統一している施設、素材で特徴を出している施設が同じチェーンに混在しています。枕が2つあるかどうかは、ホテルの格やグレードで決まるわけではありません。
枕を増やすかわりに貸し出す方式もある
客室に複数置くのではなく、必要な人にフロントから渡す方式もあります。コンフォートホテルは、足首をのせたり横向き寝のときに膝の間にはさんだりして使うチョイスフットピロープラスを、フロントでの貸出として案内しています。客室に最初から何本置くかという設計と、追加で借りられるかという運用は別の話です。
よく言われる理由のうち確認できること
枕が2つある理由としてよく挙げられる説明のうち、ホテルの公式情報で裏づけられるものと、そうでないものがあります。ここを区別しておくと、実際に泊まったときの判断がしやすくなります。
硬さや素材を選べるようにしているという説明
これは公式情報で確認できます。リッチモンドホテル東京目白のように、低反発とそば殻という性格の異なる2種類を置き、それぞれの特性を公式サイトで説明している例があります。2つの枕を持ち上げて重さや感触を比べれば、選択肢として置かれているのかどうかはすぐに分かります。
2つ重ねて高さを調整するという説明
枕を重ねて高さを合わせる使い方はよく紹介されますが、ホテル側がそれを想定して2つ置いていると明記した公式情報は確認できていません。重ねること自体を禁じる案内も見当たらないため、実際に試して合う高さを探すのは差し支えないと考えられます。ただし、これはホテルが公式に推奨している使い方ではない点に注意してください。
見た目を整えるために置いているという説明
ベッドメイクの仕上がりを意識した配置は確かに存在しますが、それが枕を2つ置く主たる理由だと示す一次情報は見つかっていません。装飾を目的とした細長いクッションやベッドスローは、寝るときの枕とは別のものとして扱われます。見た目のためだけに機能する寝具と、実際に頭をのせる枕は分けて考えるのが正確です。
自分に合う枕の見つけ方
枕が2つある部屋では、寝る前に両方を試しておくと失敗が減ります。夜中に合わないと気づいてから交換するより、明るいうちに確かめておくほうが確実です。
まず両方に頭をのせて比べる
持ち上げたときの重さ、押したときの沈み方、裏返したときの感触の変化を確かめてください。リバーシブルの枕は表と裏で素材が違うため、片面だけ試して判断すると本来の選択肢を見逃します。仰向けと横向きの両方で試すと、自分の寝姿勢に合うほうが分かりやすくなります。
合わなければフロントに相談する
置いてある枕がどちらも合わない場合は、フロントに相談してみるという選択肢もあります。貸出用の枕を用意している施設があり、種類を選べることもあります。ただし在庫や運用は施設ごとに違うため、必ず借りられるとは限りません。首や肩に不安がある場合は、使い慣れた枕を持参しておくと安心です。
まとめ
- ホテルの枕が2つあるのは、硬さや素材の違う枕から選んでもらうためであることが多く、予備として置かれているわけではありません。
- 同じチェーンでも施設ごとに寝具の方針が違い、1種類に統一しているホテルもあります。
- 枕が4つ並ぶ部屋は、ベッドの幅と想定される利用人数から本数が決まっています。
- 重ねて高さを調整するという使い方は広く知られていますが、ホテルが公式に推奨しているとまでは確認できません。
- 寝る前に両方を試し、どちらも合わなければフロントに相談しておくと安心です。
参考資料
- リッチモンドホテル東京目白『マットレスと枕のご紹介(2026年8月時点)』: マットレスと枕のご紹介
- リッチモンドホテル札幌駅前『客室(2026年8月時点)』: 客室
- リッチモンドホテル東京芝『客室(2026年8月時点)』: 客室
- コンフォートホテル『ブランドストーリー Sleep(2026年8月時点)』: ブランドストーリー Sleep
関連記事:ホテルのベッドと設備とアメニティの雑学/ホテルのベッドの足元にある布は何か/ホテルの雑学25選



