神奈川県箱根町の強羅で、全室に温泉露天風呂を備えた「箱根強羅 KAIKA」が2026年7月31日に開業しました。茶道の精神や数寄屋の美意識を滞在全体へ落とし込み、温泉、食、茶、景観を通じて心身の回復を促すリトリート施設です。
以前の発表では予約開始と同年7月31日の開業予定が示されていましたが、今回は第一期の本館19室が実際に開業した段階への更新です。第二期以降も含めた計画と、宿泊事業者が参考にできる体験設計のポイントを整理します。
観光庁(国土交通省)『令和8年版観光白書(概要版)』では、観光白書・観光動向を考える際に、地域資源を単体で見せるだけでなく、受入環境や周辺事業者との連携まで含めて磨き上げる視点が示されています。今回の発表も、施設の魅力を地域での過ごし方や移動導線と結びつけて伝える点で、宿泊事業者が滞在価値を組み立てる参考になります。

本記事のポイント
- 箱根強羅 KAIKAの第一期となる本館19室が、2026年7月31日に開業しました。
- 全客室の温泉露天風呂、天空茶室、茶懐石を組み合わせ、「数寄屋レジリエンス」という独自の回復体験を構成しています。
- 2027年初めに別館1室、2028年夏に新館8室を開業する予定で、三期にわたり滞在の選択肢を広げる計画です。
発表内容の整理

株式会社ファンドディベロップは、箱根町強羅に箱根強羅 KAIKAを開業しました。第一期の本館は全19室で、すべての客室に大涌谷から引湯した温泉の露天風呂を設けています。大開口の窓や天然木を生かした設えによって、客室内で自然と静けさを味わえる構成です。
客室はスイート、フォース、トリプル、ツインなどを用意し、少人数の静養から家族・グループ旅行まで異なる滞在形態に対応します。最上階には明星ヶ岳と強羅の自然を望む「天空茶室」を設け、館内の日本料理「水(SUI)」では、茶の湯の精神を取り入れた夕食、茶の体験、朝茶懐石を提供します。
出典:PR TIMES 2026年7月31日(金)神奈川・箱根に「箱根強羅 KAIKA」開業 茶道の精神や美意識を反映した、日本式の新リトリート体験
開業実績へ移った第一期の位置づけ
今回の要点は、予約受付や計画の発表ではなく、第一期の本館19室が予定どおり開業したことです。開業日、所在地、客室数に従来発表との食い違いはなく、施設は構想段階から営業段階へ移りました。
全室へ温泉露天風呂を設けることで、大浴場の利用時間や混雑を気にせず、客室を中心に滞在を組み立てられます。プライベートな入浴と自然を眺める時間を一体化した設計には、静けさを求める旅行者へ施設の価値を明確に伝える丁寧な工夫がうかがえます。
茶と数寄屋を滞在体験へつなぐ設計
箱根強羅 KAIKAは、数寄屋建築を意匠として見せるだけでなく、茶を点てる行為、茶懐石、余白のある客室、天空茶室からの眺望を連続した体験にしています。「何をするか」を増やすのではなく、呼吸や会話、景色へ意識を向ける時間を用意している点が特徴です。
宿泊施設のコンセプトは、内装、食事、接客が別々に語られると伝わりにくくなります。同館のように「回復」という目的を定め、到着後の過ごし方から夕食、入浴、朝食まで一つの物語として整える方法は、地域文化を滞在価値へ変える現場でも参考になる取り組みです。
温泉と高付加価値旅行を結ぶ運営視点
環境省は「新・湯治」効果測定調査プロジェクトで、平成30年度から令和5年度までの6年間に、全国の温泉地滞在が心身へ与える影響について約2万件のアンケートデータを蓄積しました。箱根強羅 KAIKAが温泉を単体の設備ではなく、静かな客室、茶、食事と組み合わせて回復の時間として提案することは、温泉地滞在の価値を分かりやすく届ける一つの形です。
観光庁によると、2023年の高付加価値旅行者は訪日旅行者全体の約2%である一方、訪日旅行消費額の約19%を占めました。こうした旅行者への対応では、豪華な設備だけでなく、その土地で過ごす理由やサービスを支える物語、一貫した品質が重要になります。強羅ゆかりの茶文化、大涌谷の温泉、山の景観を結び付けた同館の構成は、箱根で滞在する意味を体験として伝える魅力につながります。
三期開発で広がる滞在の選択肢
第一期の本館開業後は、2027年初めに愛犬と宿泊できる一棟貸しの別館1室、2028年夏に全室温泉露天風呂付きの新館8室を開業する予定です。第二期と第三期は現時点では予定であり、今回開業した本館とは段階を分けて捉える必要があります。
一棟貸しとペット同伴という異なる需要を別館で受け止め、その後に新館を加える計画は、施設全体のコンセプトを保ちながら客層と泊まり方を広げていく構成です。各期の利用動向や現場運用を次の展開へ生かせることも、段階的な開発ならではの利点として考えられます。
人材と生産性を意識した体験品質
観光庁(国土交通省)の「令和8年版観光白書(概要版)」は、宿泊業の人材確保と生産性向上を主要な論点に掲げています。2025年の外国人延べ宿泊者数は過去最高となり、その約7割が神奈川県を含む三大都市圏へ集中したと整理されており、需要の取り込みと安定したサービス提供を両立する体制づくりが一段と重要です。
全19室という規模で、客室内の温泉、茶室、レストランを共通のテーマで結ぶ箱根強羅 KAIKAでは、スタッフが体験の意図を共有し、案内や料理説明の品質をそろえることがブランド形成につながります。業務手順の標準化と、茶や地域文化を伝えられる人材育成を並行させることが、静かな滞在価値を継続的に届ける実務上の鍵となりそうです。

まとめ
箱根強羅 KAIKAは、2026年7月31日に第一期の本館19室を開業し、計画から営業の段階へ進みました。全室の温泉露天風呂に加え、天空茶室、茶懐石、数寄屋の空間を「回復」という一つの目的で結んでいます。
箱根の温泉や景観へ茶文化を重ね、滞在中の時間の使い方まで設計していることが同館の特色です。今後予定される別館と新館によって選択肢が広がるなか、各期で培われる運営知見と体験品質の発展にも注目されます。
企業情報
- 施設名:箱根強羅 KAIKA(はこねごうら かいか)
- 施設所在地:神奈川県足柄下郡箱根町強羅1320-475
- 開業日:2026年7月31日(第一期・本館19室)
- 客室数:第一期は全19室・全室温泉露天風呂付き。第二期は別館1室を2027年初め、第三期は新館8室を2028年夏に開業予定。
- アクセス:箱根登山鉄道「強羅駅」より徒歩約14分
- 駐車場:3台(開業から11月頃まで)。施設から車で約10分の場所に50台収容可能な駐車場があり、駐車場から送迎バスを運行。
- 施設公式サイト:箱根強羅 KAIKA
- 運営会社:株式会社ファンドディベロップ(リリース冒頭では株式会社ファンドディべロップと表記)
- 本社所在地:東京都渋谷区代々木2-21-11 ベルテ代々木Ⅱ501号室
- 代表取締役:佐藤 慧士
- 事業内容:不動産の売買、仲介、賃貸および管理事業/不動産・ホテルの企画、開発、運営、販売事業/不動産全般のコンサルティング事業
- 会社公式サイト:株式会社ファンドディベロップ
参考資料
- 環境省『環境省全国「新・湯治」効果測定調査プロジェクト(平成30年度〜令和5年度)』: 環境省全国「新・湯治」効果測定調査プロジェクト
- 観光庁『訪日旅行での高付加価値旅行者の誘致促進(2023年)』: 訪日旅行での高付加価値旅行者の誘致促進
- 観光庁(国土交通省)『令和8年版観光白書(概要版)(公表資料)』: 令和8年版観光白書(概要版)

