海外のホテルでお風呂に洗い場がなく、シャワーだけで戸惑ったことはないでしょうか。ホテルの浴室で浴槽とシャワーが別々の設備になっているのは、湯に浸かる用途と体を洗う用途をあらかじめ分けて設計しているためです。浴槽の外に独立したシャワーブースを置く造りは、体を洗ってから湯に浸かる日本の入浴作法と相性がよく、浴槽の湯を清潔に保ちやすいという実用面のメリットがあります。
ただし、これは日本のホテルに限った設計ではなく、海外の高級ホテルでも浴槽とシャワーを分ける客室は見られます。逆に日本のビジネスホテルでは、浴槽とシャワーが一体になったユニットバスが今も主流です。国や価格帯だけで、浴槽とシャワーが別かどうかを判断することはできません。
そこで本記事では、浴槽と洗い場とシャワーの組み合わせが分かれた背景を、法令と調査データをもとに解説していきます。浴室の造りの違いが気になる方は、ぜひご参考にしてください。
この記事でわかること
- 浴槽と洗い場とシャワーの組み合わせが施設ごとに違う理由
- 日本で湯船に浸かる習慣がどの程度残っているのかを示す調査結果
- 法令が入浴設備について定めている範囲
- 予約時に浴室の造りを確認する方法
なぜ浴槽とシャワーを分ける設計があるのか
浴槽とシャワーを分ける設計とは、体を洗い流すための独立したシャワーブースと、湯に浸かるための浴槽を、同じ浴室内に別々の設備として配置することです。海外で一般的なシャワーオンリーの客室や、浴槽の上にシャワーヘッドを取り付けた一体型とは異なる構成にあたります。東京ガス都市生活研究所が2025年8月と2026年1月に一都三県の15歳から79歳の男女2600名を対象に行った調査によると、シャワーだけで済ませる人は30代以上で増える傾向にあり、湯船を使う習慣も広く残っています。
浴槽の湯を清潔に保ちやすい
体を洗い流す場所と湯に浸かる場所を分けておけば、石けんやシャンプーの泡が浴槽の湯に入りにくくなります。これは、体を洗ってから湯船に入るという日本の伝統的な入浴作法と同じ発想で、浴槽の湯を家族や連泊中の自分自身が繰り返し使うことを前提にした設計です。
複数人での身支度がしやすくなる
浴槽とシャワーが別であれば、一人がシャワーを浴びている間に、もう一人が洗面や着替えを進めやすくなります。家族旅行やグループ旅行向けの客室で、この分離型の設計が採用される例が見られます。
日本と海外で入浴の重視点が異なる背景
日本と海外で浴室の設計思想が異なるのは、湯に浸かることへの重視度が違うためです。住宅設備メーカーLIXILの調査は、この違いを数値で裏づける手がかりのひとつになります。
日本人の多くは毎日湯船に浸かる習慣を持つ
LIXILが2014年9月に実施したインターネット調査(全国の20代から60代の男女520名が対象)では、毎日湯船に浸かると回答した人が全体の78.7パーセントにのぼりました。年代別では60代男性が88.5パーセントともっとも高く、20代女性が67.3パーセントともっとも低い結果でした。この調査はインターネットを通じた任意回答型の調査であり、無作為抽出による国の統計調査ではないため、傾向を示す参考値として扱う必要があります。
海外ではシャワー中心の入浴が一般的な地域もある
海外ホテル事情を扱う専門メディアホテリスタの解説によると、ヨーロッパでは歴史的な建物の多さや乾燥した気候を背景に、シャワーのみの客室が3つ星以下のホテルで多く見られ、浴槽付きの客室はスイートルームに限られることもあるとされています。アメリカやオセアニアでも同様の傾向が紹介されており、乾燥した気候の地域では浴槽を必要としない考え方が背景にあるとされています。
日本と海外で一律に違うという説を検証する
日本のホテルは浴槽とシャワーが別で、海外のホテルはシャワーのみという説明を見かけますが、これは傾向であって、すべての客室に当てはまる規則ではありません。実際には客室のグレードによって差が大きく出ます。
アジアの上位クラスホテルは浴槽付きが主流
ホテリスタの解説では、アジアの4つ星以上のホテルでは浴槽とシャワーの両方、または独立したシャワーブースを備える客室が主流とされ、3つ星以下では水シャワーのみでカーテンがないなど設備面の課題がある場合も紹介されています。海外だから必ずシャワーのみと考えるのは誤りで、地域よりも客室のグレードが大きく影響しています。
日本のホテルも浴槽とシャワーが一体の客室が多い
日本の入浴文化を踏まえると、日本のホテルはすべて浴槽とシャワーが分かれていると思われがちですが、実際にはビジネスホテルを中心に、浴槽とシャワーが同じ空間に収まったユニットバス形式の客室が数多く残っています。入浴文化と、実際の客室の設備は必ずしも一致しません。
予約時に浴室の造りを確認する方法
湯船に浸かりたい場合や、シャワーだけで済ませたい場合は、客室タイプの説明にあるバスタブやシャワーの表記を予約前に確認してください。海外のホテルでは、シャワーのみの客室とバスタブ付きの客室で料金や客室タイプが分かれていることが多く、指定しないとシャワーのみの客室になる場合があります。
浴槽の深さや使い勝手が気になる場合は、ホテルのバスタブの深さやシャワー位置に隠された使いやすさもあわせて確認すると、宿泊先選びの判断材料になります。

まとめ
- ホテルで風呂とシャワーが別になっているのは、洗う用途と浸かる用途を分けて浴槽を清潔に保ちやすくする設計です。
- LIXILの2014年調査では、日本人の78.7パーセントが毎日湯船に浸かると回答しています。
- 海外ではシャワー中心の客室が多い地域もありますが、アジアの上位クラスホテルは浴槽付きが主流で、国だけで判断できません。
- 湯船を重視するかシャワーで十分かは、予約前に客室タイプのバスタブ表記で確認するのが確実です。
参考資料
- LIXIL『お風呂に関するアンケート調査ニュースレター(2014年9月9日実施、有効回答520名)』: お風呂に関するアンケート調査ニュースレター
- ホテリスタ『海外ホテルのバスルーム事情(第6章 バスルームを快適に使いこなす)』: 海外ホテルのバスルーム事情
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