ホテルの雑学

ホテルで宿泊者名簿を記入する理由と旅券確認との関係を詳しく解説

ホテルで宿泊者名簿を記入する理由と旅券確認との関係を詳しく解説
CoCoRo編集部

チェックインのたびに名前や住所を書くのはなぜなのか、疑問に思ったことはないでしょうか。ホテルで宿泊者名簿を書くのは、旅館業法第6条が、営業者に対して宿泊者の氏名や住所などを名簿に記載し備え付けることを義務づけているためです。フロントでの記入や本人確認は、施設の任意のルールではなく法律上の義務にもとづいています。

ただし、記載すべき事項は宿泊者全員が一律に同じではありません。外国人宿泊者には国籍と旅券番号の記載、旅券の写しの保存という追加の要件があり、同行者がいる場合も代表者だけの記載で法令の要件を満たすとは限りません。宿泊者名簿は一律のフォーマットではなく、宿泊者の属性によって求められる内容が変わる仕組みです。

そこで本記事では、宿泊者名簿の記載義務がどの条文にもとづくのかを、外国人宿泊者の扱いとあわせて解説していきます。手続きの意味を知っておきたい方は、ぜひご参考にしてください。

この記事でわかること

  • 宿泊者名簿の記載を義務づけている法令と条文
  • 名簿に記載が必要な項目
  • 外国人宿泊者でパスポートの確認が求められる条件
  • 同行者の記入が必要かどうか

宿泊者名簿は旅館業法で定められた法定の帳簿である

結論として、宿泊者名簿とは、旅館業法にもとづいて宿泊施設が備え付けを義務づけられている、宿泊者の氏名・住所などを記録する帳簿のことです。ホテルや旅館が独自に用意している事務書類ではなく、法律上の根拠を持つ制度です。

宿泊者名簿の記載を義務づけているのは旅館業法第6条です。厚生労働省が所管する旅館業法施行規則第4条の2は、名簿に記載する事項として宿泊者の氏名、住所、職業などを定めています。記入は施設が任意で求めている手続きではなく、法令にもとづく義務です

旅館業法第6条が備え付けと記載を義務づけている

厚生労働省が公開する旅館業法第6条では、営業者は厚生労働省令で定めるところにより施設に宿泊者名簿を備え、宿泊者の氏名、住所、その他厚生労働省令で定める事項を記載し、都道府県知事の求めがあれば提出しなければならないと定められています。旅館業とは、宿泊料を受けて人を宿泊させる営業のことで、この定義に当てはまる施設には名簿の備え付け義務が及びます。

記載事項は旅館業法施行規則で具体化されている

具体的な記載事項は旅館業法施行規則で定められており、大阪府が公開する案内によると、令和5年12月13日以降は、全施設共通で氏名・住所に加えて連絡先の記載が必須となりました。以前は職業の記載が必須でしたが、この改正でその項目は廃止されています。記載事項は固定ではなく、社会状況に応じて見直されてきた点も押さえておく必要があります。

外国人宿泊者に国籍・旅券番号が求められる背景

外国人宿泊者への対応が特別に定められているのは、国内に住所がない宿泊者について、通常の住所確認の代わりとなる情報が必要になるためです。

国籍と旅券番号の記載義務

旅館業法施行規則は、宿泊者が日本国内に住所を有しない外国人であるときは、氏名・住所に加えて国籍と旅券番号を宿泊者名簿に記載することを定めています。日本国内に住所がある外国人には、この追加要件は適用されません。国籍がその人を指すわけではなく、日本国内に住所を持たないという条件が基準になっている点に注意が必要です。

旅券の提示と写しの保存も求められる

大阪府の公式案内では、国内に住所のない外国人宿泊者については、旅券の提示を求めたうえで、旅券の写しを宿泊者名簿とともに保存することとされています。旅券の写しを保存すれば、名簿の氏名・国籍・旅券番号欄への記載を代替してよいことも明記されています。宿泊者名簿は3年間の保存が求められており、旅券の写しもあわせて同じ期間保存する必要があります。

代表者だけの記載で済むという通説を検証する

グループでの宿泊時、代表者だけ記入すれば十分だという理解が広がっていますが、法令の建て付けから見ると、この理解は正確ではありません。

条文上は宿泊者全員の記載が原則になっている

旅館業法第6条と施行規則は、宿泊者の氏名などを名簿に記載することを求めており、条文の文言は特定の代表者一人ではなく宿泊者を対象にしています。家族旅行や友人同士のグループであっても、同行者を含めた全員分の情報を記録することが法令上の原則です。代表者一人の記載だけで済むという広く流布した理解は、条文の文言とは一致しません。

実際の運用は自治体や施設によって幅がある

一方で、同行する未成年の家族については氏名のみで住所は代表者と共有できるなど、自治体ごとに実務上の運用に幅があるとされています。この点についての詳細な統一基準を示す全国一律の一次情報までは確認できておらず、実際にどこまで簡略化できるかは、施設が管轄する保健所の指導や施設ごとの案内によって変わり得ます。宿泊予約時に同行者情報の入力を求められた場合は、簡易な入力に見えても法令上の記載義務にもとづいている可能性がある、という理解が実態に近いといえます。

チェックイン時に知っておくと役立つこと

宿泊者名簿の位置づけを理解しておくと、チェックイン時に求められる書類や、旅券提示を断った場合の対応についても見通しが立てやすくなります。

身分証や旅券は同行者の分も準備しておく

宿泊者名簿への記載は宿泊者全員が対象になり得るため、グループで宿泊する場合は、代表者だけでなく同行者の身分証や、外国籍の同行者がいる場合は旅券も用意しておくと、チェックイン時の手続きがスムーズになります。

旅券の提示は法律に基づく手続きである

日本国内に住所のない外国人が旅券の提示を求められるのは、フロントの個別判断ではなく、旅館業法施行規則にもとづく手続きです。提示を求められた際は、国の指導にもとづく法定の確認であることを理解しておくと、余計な戸惑いを避けられます。

まとめ

  • 宿泊者名簿は旅館業法第6条にもとづく法定の帳簿で、ホテル独自のルールではありません。
  • 2023年12月の改正で必須記載事項が職業から連絡先に変わり、氏名・住所・連絡先が全施設共通の項目になりました。
  • 日本国内に住所のない外国人宿泊者には、国籍・旅券番号の記載と、旅券の写しの保存が追加で求められます。
  • 条文上は宿泊者全員の記載が原則で、代表者だけの記載で常に足りるとは限りません。

参考資料

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