ホテルの雑学

なぜホテルのバスタブは浅く感じるのか。深さとシャワー位置の理由を解説

なぜホテルのバスタブは浅く感じるのか。深さとシャワー位置の理由を解説
CoCoRo編集部

ホテルのバスタブが思ったより浅くて、肩まで浸かれなかった経験はないでしょうか。浅く感じられることがあるのは、体への負担を減らし、出入りしやすくすることを意識した設計が一因になっていると考えられます。浴槽のまたぎやすさは、高齢者や体力に自信がない人にとって転倒を防ぐ実用面の配慮につながります。

ただし、浴槽の深さを統一した基準は存在せず、肩まで浸かれる深めの浴槽を売りにしている高級ホテルや温泉旅館も数多くあります。ホテルの浴槽は浅いと一括りにすることはできません。深さやシャワーの位置は、客室のグレードや設備の年式によって差があります。

そこで本記事では、浴槽の深さやシャワー位置が施設ごとに違う理由を、公的資料とメーカー情報をもとに解説していきます。湯船にこだわりたい方は、ぜひご参考にしてください。

この記事でわかること

  • 浴槽の深さに統一された基準があるのかどうか
  • 高齢者の入浴事故について公的機関が示している注意点
  • 浴槽が浅いことが必ず安全設計を意味するのかどうか
  • 宿泊前に浴槽やシャワーの仕様を確認する方法

なぜ浴槽の深さやシャワー位置が施設ごとに違うのか

浴槽の深さやシャワーの位置が施設ごとに異なるのは、想定する入浴スタイルや設置スペースが異なるためです。バスタブとは、湯を張って体を浸けるための浴槽のことです。浴槽は、深さと長さのバランスによって、肩まで浸かる姿勢を重視するか、脚を伸ばす姿勢を重視するかが変わります。

浴槽には深さの異なるいくつかの型がある

住宅設備メーカーLIXILの公式用語集では、和式の深さと洋式の長さを兼ね備えた和洋折衷浴槽について、肩まで浸かりながら脚も適度に伸ばせるゆったりした浴槽と説明されています。深く短い和式、浅く長い洋式、その中間にあたる和洋折衷という考え方があり、ホテルの浴槽もこの分類のいずれかに近い形状で作られていると考えられます。

シャワーの位置は固定式とハンド式で異なる

日本の住宅やホテルでは、シャワーヘッドを手で持って使うハンド式が主流ですが、海外のホテルでは壁や天井にシャワーヘッドが固定された固定式も多く見られます。固定式が使われる背景として、水道水の性質上ホースが詰まりやすい地域があるためという説明もありますが、この点を明確に検証した公的な資料までは確認できていません。

入浴時の安全性という観点から見た浴槽設計

浴槽の出入りのしやすさは、高齢者の入浴事故対策としても重視されている観点です。消費者庁の公表データが、この背景を裏づけています。

高齢者の入浴中の事故は冬季に多く発生している

消費者庁が2020年11月19日に公表した注意喚起は、厚生労働省の人口動態調査をもとに、高齢者の不慮の溺死および溺水による死亡者数が高い水準で推移し、11月から4月の冬季に多く発生していると公表しています。あわせて、入浴前に脱衣所や浴室を暖めること、湯温はセ氏41度以下、入浴時間は10分までを目安にすること、浴槽から急に立ち上がらないことなどを注意点として挙げています。

立ち上がりが低い浴槽はまたぎやすさに配慮した設計

加齢によって体のバランスを崩しやすくなると、浴槽の縁を高くまたぐ動作が転倒の原因になりやすいとされています。住宅のリフォーム業界では、洗い場の床から浴槽の縁までの立ち上がりを低くした浴槽が増えているという指摘があり、こうした設計思想がホテルの浴槽にも影響している可能性があります。ただし、ホテル業界全体でどこまで採用されているかを示す統計は確認できていません。

浴槽が浅いのは安全のためという説を検証する

ホテルの浴槽が浅いのは安全のためという説明を、すべての浴槽に当てはまる理由として断定することはできません。深さの決定には、安全性以外の要素も関わっています。

深い浴槽を特徴にしているホテルや旅館もある

肩までしっかり浸かれる深めの浴槽を客室の魅力として紹介しているホテルや温泉旅館は数多く存在します。安全性を理由に浴槽を浅くする動きがある一方で、日本の入浴文化に合わせて深さを重視する施設もあり、浴槽の深さは安全か快適かの二択で決まっているわけではありません。

スペースやコストの制約が深さに影響する場合もある

ユニットバス形式の客室では、設置スペースの制約から浴槽のサイズが規格化されており、深さも規格の範囲内で決まります。浅く感じる浴槽のなかには、安全性への配慮ではなく、標準的なユニットバスの規格をそのまま採用した結果であるものも含まれると考えられ、理由を個別に確認しないと安全設計かどうかは分かりません。

宿泊前に浴槽やシャワーの使いやすさを確認する方法

肩までしっかり浸かりたい場合は、客室タイプの説明や写真で浴槽の深さや大きさを確認しておくと安心です。高齢の家族と宿泊する場合は、浴槽のまたぎやすさや手すりの有無を、予約時に施設へ問い合わせておくとより確実です。

海外のホテルでは固定式シャワーが主流の地域があるため、ハンドシャワーを使いたい場合は事前に写真や設備一覧で確認してください。バス・トイレが分かれているかどうかも合わせて確認したい場合は、ホテルでバスとトイレが分かれている客室が増えた背景を解説しますを参考にしてください。

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まとめ

  • ホテルの浴槽の深さやシャワー位置は、またぎやすさや入浴スタイルへの配慮によって施設ごとに異なります。
  • 消費者庁は、高齢者の入浴中の溺水事故が冬季に多いことを公表し、湯温や入浴時間の目安を示しています。
  • 浴槽が浅いことが必ずしも安全設計とは限らず、スペースやコストの制約で規格を採用している場合もあります。
  • 深さやシャワーの仕様にこだわりがある場合は、予約前に客室タイプの写真や説明を確認しておくと安心です。

参考資料

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