ホテルのベッドを見て、家で使っているものより大きいと感じたことはないでしょうか。その理由は一つではありません。ホテルのベッドが大きく見えるのは、家庭用より広めのサイズを採用している場合が多いことに加え、デュベスタイルと呼ばれるベッドメイクの方法で見栄えよく仕上げているためです。羽毛布団をシーツで包んで足元をマットレスの下に挟み込むこの方式は、寝心地の良さから国内外の多くのホテルで採用が進んでいます。
ただし、すべてのホテルのベッドが家庭用より大きいわけではありません。ビジネスホテルでは1人用でもセミダブルサイズが標準になっている例があり、ホテル仕様のクイーンサイズが市販の家庭用クイーンより幅が狭いという情報もあります。ベッドが大きいと一律に語ることはできず、客室のグレードや施設ごとの方針によって差があります。
そこで本記事では、ベッドが大きく見える仕組みと、法令が客室の広さについて定めている範囲を分けて解説していきます。寝心地や部屋選びが気になる方は、ぜひご参考にしてください。
この記事でわかること
- ベッドを大きく見せているベッドメイクの手法
- 客室の広さについて法令が定めている数値と、ベッドのサイズが対象外である理由
- ホテルのベッドが家庭用と異なる点
- 予約時に寝具の仕様を確認する方法
ホテルのベッドが実際に大きいサイズを採用している理由
ホテルのベッドが大きく感じられる最大の理由は、家庭ではあまり選ばれないクイーンやキングといった幅広サイズを、客室のグレードに応じて積極的に採用しているからです。ベッドサイズとは、マットレスの横幅と長さによって区分される規格のことで、日本ではシングルからキングまで数段階に分かれています。
厚生労働省が所管する旅館業法施行令第1条第1項第1号は、一客室の床面積を7平方メートル以上、寝台を置く客室は9平方メートル以上と定めていますが、ベッドの大きさや台数までは規定していません。どのサイズを何台入れるかは、客室面積と価格設定にあわせた施設ごとの判断です。
主なベッドサイズの目安
寝具メーカーのフランスベッドが公開している採用寸法では、シングルが横幅97センチ、セミダブルが122センチ、ダブルが140センチ、クイーンが170センチ前後、キングが194センチ前後で、長さはいずれも約195センチとされています。長さはほぼ共通ですが、横幅は用途に応じて大きく変わることが分かります。
客室グレードで採用サイズが分かれる
同じフランスベッドの解説では、セミダブルは寝返りを打ちやすい1人用の最適サイズとしてビジネスホテルのベッドにも採用されているとされる一方、キングサイズはホテルのスイートルームにも使われる大型サイズだと説明されています。標準的な客室では1人あたりセミダブルからダブル程度、上位グレードの客室ではクイーンやキングというように、部屋の位置づけに応じてサイズを使い分けているホテルが多いと考えられます。
日本の家庭用ベッドとの比較
日本の家庭ではシングルやセミダブルが中心で、ダブル以上を置く住宅は寝室の広さの制約もあって多くありません。ホテルの客室はもともと寝るための面積を優先して設計されているため、家庭よりも大きなサイズを違和感なく置けるという事情もあります。
見た目のボリュームを生むベッドメイクとマットレス構造
ホテルのベッドが実際のサイズ以上に大きく豪華に見えるのは、寝具の重ね方とマットレスの構造にも理由があります。数値だけでは説明できない見た目の差は、ここに現れています。
デュベスタイルが広く採用されている
相鉄ホテルズの公式解説によれば、デュベスタイルとは羽毛布団をシーツで包んだベッドメイキングの方法で、フランス語で羽毛を意味するデュベに由来します。マットレスに複数のシーツを挟み込む従来の方式に比べて圧迫感が少なく寝心地が良いとされ、ここ数年で国内外の多くのホテルが採用しています。羽毛インナーをカバーの中にセットし、足元をマットレスの下に挟み込んで就寝中のズレを防ぐ仕組みです。
マットレスとボトムを重ねる構造
フランスベッドの解説では、ホテルのベッドはスプリング入りのボトムフレームの上にマットレスを重ねる構成が一般的だとされています。マットレスとボトムを合わせた寝心地によって高さと厚みが増し、見た目にも豪華な印象になります。マットレスの厚みは、ビジネスホテルで200ミリ前後、高級ホテルでは300ミリから400ミリを超えるものまで幅があるとされています。
ホテルのベッドは本当にいつも大きいのか
ホテルのベッドはどこでも大きいという印象は、実際のサイズを確認すると必ずしも正確ではありません。家庭用より狭いサイズが使われている場面もあり、一般化には注意が必要です。
ホテル仕様のクイーンは家庭用より狭いことがある
フランスベッドの解説によれば、ホテル用として使われるクイーンサイズは幅161センチ前後のものがあり、これは家庭向けに販売されているクイーンサイズのマットレスより10センチほどコンパクトだと明記されています。同じクイーンという名称でも、ホテル仕様と家庭用市場向けの規格が完全に一致しているわけではありません。
ビジネスホテルは1人用でもセミダブルが標準という例がある
セミダブルは1人用の最適サイズとしてビジネスホテルに採用される例があります。セミダブルの横幅は120センチ前後で、家庭で使われるダブルベッドより狭いこともあります。高級ホテルのイメージから、ホテルのベッドは常に家庭より大きいと思い込むと、実際に泊まったときの印象とずれることがあります。
大きさの感じ方は施設ごとの方針で変わる
ベッドの実寸、マットレスの厚み、ベッドメイクの方式は、いずれもホテルごと、客室タイプごとに異なります。ホテルのベッドが大きいと感じる理由には実寸の大きさと見た目のボリュームの両方が関わっており、どちらか一方だけで説明することはできません。予約前に客室タイプのベッドサイズを確認しておくと、実際の印象とのずれを減らせます。
足元に置かれたベンチのような家具の使い方
ホテルのベッドの足元に置かれた台のような家具は、フットベンチやベッドベンチなど複数の呼び方があり、業界で統一された名称はありません。腰掛けたり荷物を置いたりする実用的な家具として使われています。
呼び方が複数あり統一されていない
この家具はフットベンチ、ベッドベンチ、ベッドエンドベンチ、ベッドルームベンチなど、資料によって呼び方が異なります。IKEAは公式の通販カテゴリーでベッド用ベンチという名称を使っており、家具メーカーや販売店ごとに表記が揺れている状態です。本記事ではフットベンチという呼び方を軸に説明しますが、どの名称も同じ位置に置かれる同種の家具を指していると考えて差し支えありません。
オットマンとは本来別の家具である
オットマンとは、本来は足を乗せて休ませるための台を指す家具の名称です。フットベンチと役割が近いために同じ言葉で呼ばれることもありますが、椅子やソファに添える単体の足置きとしてのオットマンと、ベッドの足元に据え置かれた長方形のベンチは、成り立ちが異なる別の家具として区別しておくと混同を避けられます。
腰掛けや荷物置きとして使われる
この家具は、靴を履き替えるときに腰掛けたり、スーツケースなど大きな荷物を一時的に置いたりする用途で使われています。掛け布団が足元から滑り落ちるのを防ぐ役割を果たすこともあります。座面に飲食物を置いたまま長時間放置すると生地が傷むため、荷物置きとして使う場合はキャスター付きの重いスーツケースを直接載せず、床に下ろすか布などを敷いてから置くと安心です。
まとめ
- ホテルのベッドが大きく見えるのは、クイーンやキングなど広めのサイズと、デュベスタイルのベッドメイクの両方が影響しています。
- マットレスとスプリング入りのボトムを重ねる構造も、見た目の厚みとボリュームを生んでいます。
- ホテル仕様のクイーンサイズは家庭用より狭い場合があり、ビジネスホテルでは1人用でもセミダブルが標準の例もあるため、ホテルのベッドが必ず家庭より大きいとは言い切れません。
- 足元のフットベンチは呼び方が複数あり業界で統一されておらず、オットマンとは本来別の家具です。
参考資料
- フランスベッド『マットレスのサイズの選び方【SSサイズ~キングサイズ マットレス】(2026年8月時点)』: マットレスのサイズの選び方
- フランスベッド『ホテルのマットレスと家庭用のマットレスはどこが違う?(2026年8月時点)』: ホテルのマットレスと家庭用のマットレスはどこが違う?
- 相鉄ホテルズ公式サイト『デュベスタイルとは? 羽毛布団を使った寝心地の良いベッドメイク(2026年8月時点)』: デュベスタイルとは? 羽毛布団を使った寝心地の良いベッドメイク
- IKEA公式サイト『ベッド用ベンチ(2026年8月時点)』: ベッド用ベンチ
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